データ連携の実現に向けた議論の土台づくりに関する提言を公表

AI防災協議会 官民データ接続仕様検討分科会(以下、分科会)は、「防災アプリ・サービスのための官民データ連携における諸課題と解決法に関する提言―オープンな議論に向けた土台づくり―」を公表しました。本協議会は2019年の設立以来、産官学の多様な会員が協議し実証実験などの活動をしてきましたが、今、防災DXの推進はますます喫緊の問題となり、その推進を阻む課題の解決が急務であると考えています。そこで2023年2月、協議会内で民間企業と自治体を中心とした有志が分科会を立ち上げ、これまで蓄積された知見をもとに課題を整理し提言として取りまとめることとしました。分科会では本提言を、真に機能する防災DXの構築・運用に至る第一歩と位置付け、これに関連する組織・団体との協働を推進します。

  • 本提言の全文は、本日より、どなたでも協議会ウェブサイトからダウンロードいただけます。
  • 課題解決に向けて協議にご参加いただきたくお願いいたします。
  • また本提言は「課題解決のための議論の土台」と位置付けアップデートし続けてまいります。
  • 認識違いなどあれば忌憚のないご意見を賜れば幸いです。

図1 4つのセクターの定義と、各セクターの持つ課題(抜粋

1.提言の背景

災害時における被害・負担の軽減、速やかな復興を実現する防災DXには、官民によるデータ連携基盤が必要です。産官学の法人会員・自治体会員等からなるAI防災協議会は設立当初からデータ連携基盤の必要性を謳い、その在り方について議論を行ってきました。さらに、2022年に設立された「防災DX官民共創協議会」に参画し、より広い立場・組織の方々と共に現在も活発な議論を行っています。

防災DXの推進を一層加速するべく、AI防災協議会内の民間企業・自治体を中心とした有志が集う分科会を2022年度に設置し、民間企業視点に基づく議論に自治体視点での意見を重ね、独自の提言を取りまとめました。真に機能する防災DXが構築・運用される状況をゴールに見据え、課題を共有するパートナーの皆様にさらなる協議への参加を呼びかけます。

2.提言の概要

防災DXを実現するにあたり、その背景にある本質的課題を明確にすることを目的として提言を作成しました。本提言では、それらの課題を解消するためには防災の一般的な区分けである住民(自助/共助)・企業(業助/共助)・行政(公助)の各セクターのそれぞれの活動のみならず、セクター間の調整する役割を担うべき、産官学民のメンバーを有し、客観的な視点を持つ“第4セクター(助助)”の動きが必要であることを提示しました。

特に、データ連携基盤の運用にあたっては、その運用主体に関する議論の活性化が不可欠です。本提言では、セクター間に横たわる様々な問題を解決し、持続可能にするために、第4セクターとして半官半民組織による推進が必要であることを指摘しています(図2)。

図2 第4セクターにより、各セクター間の課題の歩み寄りを推進

3.今後の取組、展望

本提言は、Webサイト(https://caidr.jp/)を通じて全文を公開しています。また、会員各社(者)を通じて、関係する各セクターに幅広く発信してまいります。 分科会は今後、本提言を通じて、次のような流れを推進していきます。

①データ連携基盤の構築・運用について、関係する組織・団体と共により具体的に協議すること

②協議に基づき、データ連携基盤を共創・構築すること

③共創・構築したデータ連携基盤を適切に運用する体制を確立すること

本提言は集まった有志によるこれまでの実務経験と、一般に得られる情報・資料に基づき、意見を集約したものです。したがって、必ずしも全てを網羅した状況にはなく、誤認や齟齬も含まれている可能性があります。今後、本提言を“土台”とし、①を通じて各種情報・システムの責任主体や運用組織の皆様と連携し、さらなる意見、経験、課題を踏まえたより俯瞰的かつ深堀りした協議を展開することで、②データ連携基盤の共創・構築、③適切運用に結び付けていくことを目指しています。

本提言に関するご意見、フィードバック、報道各社からの取材、レクチャー依頼は info@caidr.jp にて受け付けています。

■AI防災協議会について

AI防災協議会は、産官学が一丸となって、AI・SNS等をはじめとする先端技術・ITインフラを活用することによって、災害に対するレジリエンスを向上させ、防災・減災にかかる課題解決を目指すことを目的とした団体です。AI技術やSNS等を活用した防災・減災について、課題解決に関する研究活動、システムの確立・管理、訓練の計画・実施、普及啓発活動、国内外の機関との連絡、調整及び協力、その他、当団体の目的を達成するために必要な事業を主な活動内容とします。

■官民データ接続仕様検討分科会について

同分科会は、参加各位の防災課題への理解・経験とデータにもとづく防災DXへの期待感を源泉に、データ連携基盤を通じた防災アプリ・サービスの安定的かつ持続可能な発展に貢献するために、AI防災協議会に設置されました。
世話人:江口 清貴
主査:東 宏樹
副主査:藤井 大輔

本件に関する問い合わせ先

AI防災協議会事務局 Mail:info@caidr.jp